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一強多弱を憂える前に、世論を反映しない選挙制度こそ変えるべし
日本に二大政党制は根付かない(毎日新聞2015年1月5日)

 総選挙が終わった。自民党と公明党の与党の獲得議席数は全体の3分の2を超えた。

 するとさっそく、巨大与党に対抗するために野党は結集すべきだ、という妄想を語る者が出てきた。もういいかげん、「二大政党による政権交代」などという、まったく日本に合わない政党政治の追求は止めたらよいのではないか。

 豪腕を使った野合によって「徒党」を組んではみたものの、結局は分裂して、なおのこと小政党が増えた。そういう例を、わたしたちはこれまで何度も見てきた。そろそろ違う道を模索したらよい。

 筆者は「一強多弱」を容認したいわけではない。「多弱」をまとめるよりも、「一強」がさほど強くないという現実をありのままに認識して、それに素直に反映する選挙制度に変えたらよいと思っているのである。1996年から採用されている小選挙区比例代表並立制(*1=編集部注)のねらいは、日本政治に「二大政党による政権交代」をもたらすことにあった。そのために、大政党に有利な小選挙区制をメインに据え、第3党以下に配慮する必要から、これに比例代表制の部分を付け加えたのである。それが証拠に、早くも2000年には比例代表の定数は200から180に減らされてしまった。

 こうした政治的作為にもかかわらず、日本に二大政党制は根付かなかった。この選挙制度が採用されてからの18年間、議席を獲得する政党の数が7を下回ったことはない。最高は10である。二大政党制を目指しても、このザマなのだ。

自民党=一強が「みせかけ」であるわけ

 小選挙区比例代表並立制の下、これまで7回の総選挙が行われてきた。そのうち、小選挙区選挙における第一党の最高得票率は約48%(2014年、自民党)、比例代表では約42%(2009年、民主党)である。いずれも50%を超えていない。ようするに、「一強」は見せかけなのである。

 「一強」を生み出しているのは、大政党に過大に議席を配分してしまう小選挙区制である。2014年の総選挙について、比例代表の得票率だけをベースに全議席を各党にざっくり振り分けてみよう。この単純推計では、自民の議席数は157となり、公明の65を加えても過半数にはならない。一方、民主は87、維新は75、共産は54になる。

比例代表制なら投票率も上がる

 筆者は、中規模の政党が5つ程度あって、必要に応じて連立政権を組み変えることで、世論を的確に政治に反映させることが望ましいと思っている。比例代表制を選挙制度の中心に据えれば、すぐに実現できることだと思っている。

 比例代表制ならば、いわゆる一票の格差も解消しやすくなる。小選挙区選挙でしばしば見られる「結果がわかる勝負」もなくなるのだから、投票率も上がるにちがいない。二大政党制における「A党が嫌だからB党にする」といった消極的投票や、「AかBか」に由来する劇的な議席変動もなくなる。「分厚い中間政党」があれば、現状に対する不満票の行く先も多様化する。

 選挙結果を左右するのは、政党の政策であり、政治家個人の力量である。そう思われがちだが、じつは最も大きな影響を与えるのは、選挙制度である。

 しばらく「野党再編」などという空疎な言葉は封印して、選挙制度改革について考えてみようではないか。