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「ネット選挙解禁」
(共同通信 2013年4月20日)

 2013年4月19日,宿願のネット選挙解禁が実現しました。これについての私のコメントが共同通信社から地方紙向けに流されました。要旨をアップします。

 インターネットを使った選挙運動がようやくできるようになり、主要国として恥ずかしい事態が改善された。「1票の格差」の問題もそうだが、政治家が選挙のルールを自ら変更することにかたくなな態度を取り、時代のニーズを無視してきた。国民・有権者の政治不信の解消につなげてもらいたい。

 ネット選挙の解禁は、日本の民主政治にとって大きなプラスとなることは間違いない。

 第一に、若年層の政治への参加促進が期待される。これまでは選挙公報などは新聞に織り込まれて配布されることが多く、新聞を購読していない若年層は入手しづらかった。ネットを通じて興味のある政党や候補者の政策に関する情報を格段に収集できるようになり、比較もしやすくなる。政治に関心を持ってもらういい機会になる。

 一方、候補者、政党にとっても、ネットを使った選挙運動はお金を掛けずに自分のメッセージを発出できるようになる。特に、政治資金が乏しい新人候補や小さな政党にとっては、量と質の両面で選挙・広報活動を強化、多様化できる有益なツールとなる。

 ただし、ネット情報には新聞やテレビのように考査がないから、質の悪い誹謗中傷が流れる可能性がある。量的に充実を図れても、質的に高い情報が提示されるかどうかは分からない。だが、それは政治・選挙情報に限ったことではない。有権者も現実を理解した上で活用するだろうから、私はそう大きな問題とは思わない。

 候補者が自分のホームページで選挙運動を動画としてアップすることや政見を訴えることが可能となるなど、選挙の在り方そのものが大きく変わる。テレビの政見放送や選挙ポスターについて細かく定める公職選挙法の中身を根本から変える原動力になるかもしれない。

 ネット選挙は政治広報の一環と捉える見方が一般的だが、実際には政治的動員のツールとしての有益性が高い。投票率が高まることも予想されるが、オバマ米大統領の選挙戦、中東での「アラブの春」、首相官邸を取り囲んだ反原発運動のように、政治資金の提供や政治活動への参加を促す「動員力」こそがネットパワーの神髄といえる。

 労働組合を始め各種職業団体への若年層の加入が減少する中,無党派層の有権者を演説会場に集めたり,選挙ボランティアとして働いてもらったりするのに,ネットは活用されるはずだ。これまでの団体依存の選挙からの離脱も進むのではないか。