高瀬淳一HP

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サミットの復活と再活性化:コーンウォール・サミットの見通し

コーンウォールでサミットは復活し,再活性化する!

 2021年にイギリスのコーンウォールで開催される主要国首脳会議(G7サミット )は、グローバル・ガバナンスのメカニズムとしてのサミットの存在意義を再認識する場となるだろう。加えて、2021年のサミットは、新たな将来像(G11への移行)に向けてスタートを切る転換点になる模様だ。

 トランプ米政権とコロナ禍によって、事実上、サミットは2000年,じゅうぶんな活動ができなかった。これをあたかも再構築の好機とするかのように、2021年のサミットは重要な決定をしている。

G20ではなく,やっぱりG7!

 まず経済政策では、6月の財務大臣会合で法人税の最低税率についての政策協調に合意し、OECD諸国やG20にも働きかけていくことになった。サミットはグローバル経済の適正化を図るリーダーシップ機能を再び取り戻した,と言ってよい。

 いっとき、G20が力を持ったからG7は不要になるような言説が見られた。だが、G20が取り組むはずの経済面での政策協調だけを見ても、G20の能力は限定的なものにすぎない。結局、国際経済でもG7がイニシアティブを取るのが現実的であることが、今回はっきりした。

国連の肩代わりができるのはサミットしかない!

 国際政治においても、独善的な振る舞いの多い中国やロシアに政策見直しを迫れるのは、国連安保理が機能不全になっている以上、サミットだけである。この点も今回はっきりした。

 「対中包囲網」などという言い方があるが、国際法にそむく行為をなす国に対し、他の多くの国が団結して再考を促す、というのは国連が依って立つ集団安全保障を理念である。今や、対中、対露について、この力を発揮できるのは、自由な経済、民主的な政治、国際法の遵守などを共通の価値とする7つの「主要国」とEUのチームであるサミット以外には考えられないからだ。

 ちなみに、バイデン米大統領は、コーンウォール・サミットでの議論を踏まえて、米露首脳会談にのぞむ。サミットの政治的存在意義は、今やアメリカも認めるところである。

G11に向けうサミット!

 2021年のサミット は、価値観を共有する新メンバーの選抜開始の年にもなった。インド、オーストラリア、南アフリカ共和国、韓国がゲストとして招かれたのである。もちろん、これまでのサミット でも、新興国や途上国の首脳たちが数名、ゲストとして招待されてきた。今回、注目すべきなのは、これら4か国の代表が閣僚会合にも招かれたことである。

 周知の通り、サミットは主要国の政策協調のフレームワークとして、首脳会合のもとに、いくつもの閣僚会合や専門家会合が置かれ、あるいは市民G7や経済人G7などもあり、多くの国際機関も参加し、ありとあらゆる分野で政策協調を模索していくのが特徴である。もちろん、正式メンバーになるには、こうしたすべての会合に参加し、決定された政策の実施に努めなければならない。首脳会合だけへのいわば「表敬参加」とは違う努力が正式メンバーには求められる。

 今年招かれた4か国は、たんに対中包囲網づくりといった目先の政治的思惑のためだけに参加を求められたのではない。環境や保健の閣僚会合に招かれたことからしても、自由・民主などの価値を共有し、グローバル秩序の形成に責任を持ってのぞむチームのメンバーになるチャンスが与えられたと見るべきだろう。

 どの国がいつ正式メンバーに昇格するかはわからない。もちろん、韓国については国際法遵守の点でサミットへの参加に相応しくないとの意見もあるだろう。だが、明らかなのは、2021年がG10あるいはG11への脱皮の初年度になる、ということである。

日本の立ち位置はどうなる?

 2021年、イギリスはサミットの議長国であることに加え、気候変動問題を話し合う11月のCOP26の議長国でもある。アメリカがパリ協定の枠組みに復帰したことからも、今回のサミットでは地球温暖化対策についての政策協調も図られることだろう。

 グローバルな経済・政治・社会問題でリーダーシップを取る国際メカニズムとして、2021年、サミットは復活した。G11に向かう流れの中、「アジア代表」を気取り,それによって存在感を示そうとしてきた日本は,このグローバル・メカニズムに対する基本的な対応姿勢を見直すべきときにきているのではないか。