高瀬淳一HP

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G7サミットの存在意義

7か国の首脳だけではなく,国連で世界中の人たちが話し合って決めればよいのでは?

 国連を動かす両輪は「総会」と「安全保障理事会」ですが,両方とも国際問題の解決に有効性を発揮しているでしょうか。

 まず「国連総会」は大国も小国も対等という理想のもとに一国一票で議決をしています。そのために非現実的な決定がなされることもあります。

 一方,「国連安保理」は,拒否権を握る常任理事国の顔ぶれを70年間まったく変えることができずにいます。経済力があり国連の多額の分担金を支払っている日本やドイツなどが常任理事国になれず,活躍の場がもてないのです。

 こうした国連の意思決定の硬直化を背景に,G7サミットは発展してきました。いわば国連の機能低下を補うかのように,力をもった国が話し合って,問題解決の方向性を模索するようになったのです。このため,もともと先進国の経済政策の調整のために創られたサミットは,今では経済問題,政治問題,地球環境問題など,多種多様な国際問題を話し合っています。G7サミットは,実態としては国連とともに,「グローバル・ガバナンス(地球統治・地球管理)」の司令塔の役割を担っているのです。

サミットに参加する首脳は,7か国の首脳だけ?

 主会合に参加するのはG7(グループ・オブ・セブン)と呼ばれる日本,米国,英国,フランス,ドイツ,イタリア,カナダの7か国の首脳,ならびに欧州連合(EU)の大統領と委員長です。

 このほか,最近ではアウトリーチ(=外へ延ばす)と呼ばれる「拡大会合」が開催されますが,ここには新興国や途上国を代表する首脳が参加します。ちなみに,2008年の北海道洞爺湖サミットの場合,首脳を参加させた国の数は22か国にものぼりました。

 そのほか,サミットにはいくつもの国際機関の長が参加します。アフリカ54か国を代表するアフリカ連合(AU)の委員長も,194か国が加盟する国連の事務総長も参加します。首脳たちとNGO団体との協議の場なども設けられています。7人の首脳だけで勝手に決めているという批判は,参加者の数だけ見ても適切ではありません。

たった2日の会議で重要なことを決められるの?

 大統領や首相といった首脳が集ま2日間の会議は,文字通りG7サミット・メカニズムの山頂(=サミット)にすぎません。今やサミットは,多くの大臣会合や専門家会議を有する裾野の広い意思決定メカニズムに発展しているからです。

 そのほか,首脳の個人代表(シェルパ)の準備会合なども数回開かれ,またサミット後にはいろいろなフォローアップの会合も開かれています。したがって,G7サミットは一年中動いているメカニズムであるというのが実態に近いのす。

 余談ながら,経済団体も労働組合も子どもたちも,毎年G7の枠組みで会議を開き提言をまとめています。

毎年やる必要はあるの? 外交官じゃダメなの?

 サミットは「宿題の提出日」みたいなものです。

 参加する首脳はそうそう代わるわけではないので,次の年にもまた顔をあわせることになります。そのとき「お前はみんなで決めたことをやらないのか」と非難されることは恥ずかしいことです。それゆえ,各国の官僚たちは自国のリーダーのメンツのためにも,サミットで決まったことを実行しようとします。これが結果的にサミットでの約束を実行力のあるものにしています。一国のリーダーが参加して毎年開くことの意味は,けっして小さくありません。

 また,外交官などと違い,政治家ならば国内政治と国際政治を結びつけて考え,判断することができます。内政を外交によって動かし,外交に内政を反映させる。こうした高度な政治的な技を使って,各国の首脳たちはグローバル化した現代の政治をうまく動かしていこうとしているのです。首脳外交の重要性はこうした点にあるのです。